受信報告Q&A

受信報告について

Q1. 受信報告とは何ですか?
A1.
受信報告は、毎年1月1日から12月31日までの間に中毒110番で受信した、急性中毒に関する問い合わせの件数を集計したもので、日本で唯一の急性中毒に関する統計資料です。翌年の日本中毒学会機関紙「中毒研究」3号(9月発行)に掲載され、掲載後の9月末~10月頃に日本中毒情報センターのWebサイトで公開します。
Q2. 中毒110番にはどんな問い合わせがありますか?
A2.
日本中毒情報センターの中毒110番相談電話では、化学物質や動植物の毒などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に情報提供を行っております。以下に具体的な例を示します。

  • たばこや薬などを誤飲した
  • 薬の量を間違えて服用した
  • 洗剤や殺虫剤などが眼に入った
  • 防水スプレーなどを吸い込んだ
  • 仕事中に化学薬品が皮膚にかかった
  • 自殺企図で薬を過量に服用した
  • マムシにかまれた
  • キノコやフグなどを食べて症状が出た
Q3. 中毒になる物質にはどんなものがありますか?分類方法を教えてください。
A3.
起因物質は以下の7つの製品群に分類して集計しています。

  • 家庭用品 :主に家庭で使用する化学製品(化粧品、洗剤、たばこ、殺虫剤など)
  • 医療用医薬品 :病院で処方される医薬品
  • 一般用医薬品 :処方箋なしに薬局、薬店、ドラッグストアなどで購入できる医薬品、OTC医薬品
  • 農業用品 :農薬
  • 自然毒 :植物、きのこ、昆虫、ヘビ、魚、クラゲなど
  • 工業用品 :工業用の化学製品・化学薬品、ガス、灯油、ガソリンなど
  • 食品、その他 :食品(アルコール飲料など)、健康食品、乱用薬物(覚せい剤、危険ドラッグなど)など

表11には、上記の製品群をさらに主な品目に分類した詳細な集計結果を掲載しています。

Q4. 飲んだり食べたりしたものだけですか?それ以外の経路もありますか?
A4.
急性中毒事故は、口に入る(経口)だけではなく、吸い込んだ(吸入)、皮膚に付いた(経皮)、眼に入った(眼)、刺された・咬まれた(咬刺傷)など様々な経路で起こります。
受信報告の表8に患者年齢層別の曝露経路のうちわけを掲載しています。
Q5. 問い合わせがあった事故はすべて中毒になったと考えて良いですか?
A5.
実際に健康被害が出ている、つまり中毒(Poisoning)となった事例のほか、化学物質に曝露する事故に遭ったが(Exposure)、健康被害は起きていない、つまり中毒には至らなかった事例も含まれます。また、実際に誤飲したかどうかは不明だが、誤飲を心配しての問い合わせも含まれています。
受信報告の表9に中毒110番への問い合わせ時点での症状の有無を、起因物質別、患者年齢層別に掲載しています。
Q6. 受信報告から何がわかりますか?
A6.
日本で発生している中毒事故の実態をある程度反映していると考えています。ただし、受信報告の数字は日本全国で起こる事故のほんの一部、いわゆる氷山の一角に過ぎず、実際にはこの何十倍もの事故が発生していると推測されます。中毒110番への相談は、発生状況から大きく2つに分けられます。

1) 誤飲・誤食等の「不慮」の事故
小児の誤飲・誤食、製品の誤使用等に代表されるものです。年間約3万件と問い合わせの件数も多く、「身の回りに多いもの」「使用頻度が高いもの」による事故(Exposure)の実態をある程度反映していると考えます。実際に症状が出現して急性中毒(Poisoning)に至る割合は高くはありませんが、医療機関を受診し、追跡調査により転帰等が確認できた事例の中には、入院を必要とした例や重篤な症状が出現する例が少なからず存在します。
受信報告の表10-1に製品群別、患者年齢層別に件数の多いものをまとめています。

2) 自殺企図、乱用等の「故意」の事故
処方薬や市販薬の過量服用、自殺企図で発生させた硫化水素中毒等に代表され、問い合わせは医療機関からも含め、年間1千件程度です。実際に急性中毒(Poisoning)に至る例が少なからずあり、死亡されることもありますが、なかには軽症で終わる例も含まれます。
受信報告の表10-2に自殺企図のうち件数の多いものをまとめています。 

受信報告からみた中毒事故の発生状況について

Q7. 都道府県別の受信件数を教えてください。
A7.
受信報告の表1に都道府県別の受信件数と人口10万にあたりに補正した受信件数を掲載しています。
Q8. 誰から(どこから)の問い合わせが多いですか?
A8.
連絡者(中毒110番に電話をかけてきた方)は、一般市民(家族、知人など)、医療機関、その他(高齢者施設、薬局、学校、保健所、消防など)など幅広く、分類して集計しています。
受信報告の表2に起因物質別の連絡者のうちわけ、表3に患者年齢層別の連絡者のうちわけを掲載しています。また、表11には主な品目別の連絡者のうちわけも掲載しています。
Q9. 事故にあった人の年齢層を教えてください。
A9.
年齢は、1歳未満、1~5歳、6~12歳、13~19歳、20~64歳、65歳以上の年齢層に分類して集計しています。
受信報告の表4に起因物質別の年齢層のうちわけを掲載しています。また、表11には主な品目別の患者年齢層のうちわけも掲載しています。
Q10. 事故はどこで起こっていますか?発生場所のデータはありますか?
A10.
発生場所は、自宅、自宅以外の居住内(親類宅、友人宅など)、屋外、職場、その他(医療施設、高齢者施設、養護施設、学校、車内など)に分類して集計しています。
受信報告の表5に発生場所のうちわけを掲載しています。
Q11. 事故はどのような状況で起こっていますか?
A11.
発生状況は、以下のとおり分類して集計しています。受信報告の表7に患者年齢層別の発生状況のうちわけを掲載しています。
・不慮の事故
  誤飲・誤食等:不慮の事故のうち、労災と不明を除いた全ての事故。誤使用による事故も含む。
         経口だけではなく、すべての曝露経路を含む。
  労災    :労働者の業務に伴う事故
・故意の事故
  自殺企図:自傷行為を含む
  その他 :乱用、他殺、効果を期待して過剰に使用した場合など
Q12. 中毒の起因物質は1つだけですか?複数ある場合はありますか?
A12.
2種類の洗剤が混ざってガスが発生した、3種類の医薬品を過量摂取したなど起因物質が複数の場合もあります。
受信報告の表6に起因物質数別の受信件数を掲載しています。なお、受信報告では起因物質が複数の場合は、最も影響が大きいと考えられる物質を起因物質として集計しています。
Q13. 誤飲・誤食が多い起因物質を教えてください。
A13.
受信報告の表10-1に誤飲・誤食等が多い品目を、患者年齢層別に掲載しています。
Q14. 意図的摂取が多い起因物質を教えてください。
A14.
受信報告の表10-2に自殺企図による摂取が多い品目を掲載しています。
Q15. 事故が多い時間帯はありますか?
A15.
受信報告の図1に事故の発生時刻の分布を掲載しています。

その他

Q16. ペットの誤飲事故に関する問い合わせはありますか?
A16.
中毒110番では、ヒトだけではなく、イヌやネコなど動物の中毒に関する問い合せも受けています。
受信報告の表12-1および表12-2に動物の中毒に関する受信件数を掲載しています。
また、ペットの誤飲事故防止のための啓発も行っております。(イヌの中毒事故を防ぐために
Q17. 健康被害の重症度に関するデータはありますか?
A17.
重症度に関しては評価が難しく、統計として示せるデータはありません。
Q18. 受信報告に掲載のない詳細なデータを知ることはできますか?
A18.
公開しているのは受信報告のみです。ただし、特に注意喚起が必要な事故については、資料を作成し、「中毒に関する話題」として公開しておりますので、そちらもご確認ください。
Q19. 企業(メーカー)が自社製品による中毒事故の件数を知ることはできますか?
A19.
日本中毒情報センターでは名義使用会員制度を設けております。名義使用会員は、中毒110番の電話番号を種々の媒体(製品パッケージ、SDS、Webサイトなど)に掲載できるとともに、自社製品に関する問い合せ状況の報告を年2回受けることができます。詳細は「名義使用会員制度」をご覧ください。また、事故情報を迅速に企業に報告するサービス「製品事故情報速報サービス」もございます。詳細は下記までお問い合せください。

 公益財団法人日本中毒情報センター 本部事務局
  Email:head-jpic@j-poison-ic.or.jp (@を小文字の@に変えてご利用ください)

Q20. 受信報告を引用してもよいですか?
A20.
論文、学会発表の場合は、出典元を明記いただければ引用可能です。
引用する場合は、投稿・掲載予定の学術誌名・資料名と掲載予定時期などを下記までご連絡ください。可能であれば、掲載後に別刷、印刷物等のご提供をお願いいたします。
受信報告を使⽤して報道等を企図される場合は、必ず事前に下記まで連絡し承諾を得てください。

 公益財団法人日本中毒情報センター 本部事務局
  Email:head-jpic@j-poison-ic.or.jp (@を小文字の@に変えてご利用ください)