中毒事故が起こったら(家庭でできること、やってはいけないこと)

事故が起こったときに家庭でできること、やってはいけないことを紹介します。


・応急手当がわからない時や受診の必要性は、日本中毒情報センター 中毒110番に相談する。
・手当てを行っても症状がある時は、医療機関や中毒110番に相談する。
・応急手当の動画 ⇒「中毒事故が起こったら 中毒110番 応急手当の基礎知識」

1.原因物質の確認

まず、何を飲んだのか、何を吸ったのか、中毒の原因物質を確認します。医療機関を受診する場合や中毒110番に相談する際にも必要な情報です。
特に、中毒事故の場面を見ていなかった場合、散らかっている空き瓶や空き箱など周囲の状況から原因物質を特定しなければならないこともあります。残っている量から飲んだ量を推定することも重要なポイントです。

2.応急手当

意識があり、呼吸も脈拍も異常がない場合に行います。
(意識がない、けいれんを起こしているなど、重篤な症状がある場合は、直ちに救急車を呼びます。)

1)食べた場合・飲んだ場合

食べたり、飲んだりした物によって手当てが異なるので、中毒110番にご相談ください。

①あわてずに、口の中に残っているものがあれば取り除き、口をすすいで、うがいをします(難しい場合は濡れガーゼでふき取ります)。

②家庭で吐かせることは勧められていません。吐物が気管に入ってしまうことがあり危険です。
特に吐かせることで症状が悪化する危険性のあるものの場合は絶対に吐かせてはいけません。

絶対に吐かせてはいけないものの例

理由
石油製品(灯油、マニキュア、除光液、液体の殺虫剤など)気管に入ると肺炎を起こす
容器に「酸性」または「アルカリ性」と書かれている製品
(漂白剤、トイレ用洗浄剤、換気扇用洗浄剤など)
食道から胃にかけての損傷をよりひどくしてしまう
防虫剤の樟脳(しょうのう)、なめくじ駆除剤などけいれんを起こす可能性がある

③刺激性があったり、炎症を起こしたりする危険性があるものの場合は、牛乳または水を飲ませます。
誤飲したものを薄めて、粘膜への刺激をやわらげます。飲ませる量が多いと吐いてしまうので、無理なく飲める量にとどめます(多くても小児では120mL、成人では240mLを超えない)。

牛乳または水を飲ませたほうがよいものの例

容器に「酸性」または「アルカリ性」と書かれている製品(漂白剤、トイレ用洗浄剤、換気扇用洗浄剤など)
界面活性剤を含んでいる製品(洗濯用洗剤、台所用洗剤、シャンプー、石けんなど)
石灰乾燥剤、除湿剤など

④その他のものの場合は、飲ませることで症状を悪化させる恐れがあるものもありますので、何も飲ませないようにします。

飲ませることで症状を悪化させる恐れがあるものの例

理由
石油製品(灯油、マニキュア、除光液、液体の殺虫剤など)・吐きやすくなり、吐いたものが気管に入ると肺炎を起こす
・牛乳に含まれる脂肪に溶けて、体内に吸収されやすくなる
牛乳×、水×
たばこ、たばこの吸殻たばこ葉からニコチンが水分に溶け出し、体内に吸収されやすくなる牛乳×、水×
防虫剤(パラジクロルベンゼン、ナフタリン、樟脳(しょうのう)) 牛乳に含まれる脂肪に溶けて、体内に吸収されやすくなる牛乳×
(水はどちらでもない)

2)吸い込んだ場合

きれいな空気の場所に移動する。

3)眼に入った場合

眼をこすらないように注意して、すぐに流水で10分間以上洗う。
眼を洗うことが難しい場合や、コンタクトレンズが外れない場合は無理をせず、すぐに受診する。

4)皮膚についた場合

すぐに大量の流水で洗う。付着した衣服は脱ぐ。